先月(2月9日〜11日)、テニスのPTR国際シンポジウムに参加しました。今回は初のバーチャル開催となりましたが、世界52カ国から1250人のテニスコーチや関係者が参加しました。
(www. ptrtennis.org)
PTR国際シンポジウムとは?
Professional Tennis Registry (PTR) は、世界117ヶ国に14,000名以上の会員を保有する、世界最大のテニス指導者のための組織です。国際シンポジウムは毎年2月にアメリカのサウスカロライナ州のヒルトンヘッドで1週間開催されます。
どんなイベント?
世界各国からPTR資格を保有するテニスコーチが集結、世界で活躍するトップコーチからテニス指導に関する最新情報やテクニックを学べるセッション、コーチ同士のネットワーキングなど、日々のテニスの指導に役立つような興味、関心のある情報ソースが詰まっているイベントです。
どんなセッションがあるの?
セッションは8つのカテゴリーに分類されていて、自分が興味関心ある分野を探しやすくなっています。
いくつか興味深かったセッションを紹介します。
スポーツ心理学の権威のジム・レーア博士による「The Power of Perspecive (捉え方が持つ力)」コ ロナ禍におけるポジティブなマインドの持ち方。3つの大切なメッセージは、1) 感謝すること 2) 謙虚で あること 3) 決して諦めないこと(戦い続けること)
イギリスでジュニア指導に情熱を注ぐEmma Wellsのプレゼンテーション。 年令による違いを見極め、「いかに良い習慣を育てるか」、「個人はもちろん、練習するチーム としてのポジティブな反応をする習慣を身につける」ことの大切さ。
「睡眠不足は積み重なり、回復はできません」「睡眠の質が、パフォーマンスにも健康にも影響しま す」...メータ・シン博士の興味深い『睡眠負債』に関するプレゼンテーション。科学的な根拠に基づく説明に説得力がありました。 「トップレベルのアスリートで良いパフォーマンスを目指すならば、10 時間の睡眠が必要!」因みに、フェデラーは12時間寝ているとのこと!
ノルウェーテニス連盟のヘッドコーチ Oivind Sorvaldによる「 Future of coaching」では、オンコー トでのテクノロジー活用、コーチング情報の精査と優先順位付け、選手が自分で考える力をつけるための教育と目標設定など、選手育成のために今そしてこれからコーチが身に付けるべき考え方やスキルについて説明がありました。
ノルウェーのChristina Mihaela Carareによる「ソーシャルメディアの活用」についてのプレゼンテーション。集客力を上げるためにどうSNSを活用したら良いか?とビジネ ス視点で大変参考になる内容でした。ヒントは3つのC:” Content! Content! Content!” 読み手が関心あるコンテンツをどう提供するかがポイント。
その他、テーマ別に30以上のラウンジが設置され、共通の関心テーマを持った参加者が集まり意見交換の場も作られました。さらに、オンラインで参加者を自動マッチングして5分間で自己紹介し合うなど、世界のコーチやテニス関係者と繋がるイベントも行われました。
今回シンポジウムに参加して感じたことは、グローバルが当たり前の時代、これからのコーチに必要な英語力とビジネススキルです。
シンポジウムの参加価値を高める、楽しむための英語力
シンポジウムは全て英語で行われました。日本からもコーチが参加しましたが、英語の壁がありセッション内容を全く理解出来なかったり、海外のトップコーチや指導者とのコミュニケーションが出来なかったり、せっかくの機会を生かせなかったコーチもいました。
また、テニスのコーチングもグローバル対応がどんどん進んでいます。例えば、ジュニア選手の海外テニスキャンプの参加、ITFジュニア等の海外遠征、海外選手との交流試合など。そんな時にコーチに英語力が加わると、海外コーチとのコミュニケーションや、現地での活動範囲がグッと広がり、ジュニア選手にさらなる成長の機会を提供出来ると思います。
では、どの位の英語力が必要なの?
以下の表はグローバル人材に必要な英語力をまとめたものです。
レベル1の身近なことについてやり取りができれば、同じテニスのフィールドであれば基本的なコミュニケーションが取れると思います。知らない単語が出てきても、文脈からこんなこと言っているのだろう?と想像出来ます。もう一段掘り下げたやりとりするにはレベル2以上が求められます。
海外のテニスコーチが持つビジネススキル
もう一つは海外のコーチのビジネス意識・スキルの高さです。具体的には、自分の価値を発信する能力(プレゼンテーション能力 ・資料作成)、テクノロジーを活用する力、英語でのコミュニケーション能力です。これが集客力や自分で稼ぐ力に繋がって行きます。
例えば、今年のセッショ ン発表は20分の時間制限がありましたが(通常は50分)、時間内に多くの情報をPPT資料に簡潔にまとめ、オンラインプラットフォーム上で視聴者の興味関心を惹くコンテンツを配信していました。将来のシンポジウムでは日本のコーチがセッションで発表する場も出てくると思います。
コーチには、「 Lifelong Learning(生涯学習)」が必至ですが、これからはビジネススキルもコーチに必要な能力だと感じました。
参考に、バーチャルイベントを実現させるオンラインプラットフォームです。PTRシンポジウムはこのプラットフォームで動いていました。
シンポジウム主催者からは、来年はコロナも収まりリアルで開催したいが、オンラインでのセッションは継続して行きたいとコメントがありました。それなりのメリットがあるからでしょう。今後はバーチャルとリアルを融合した、新たなシンポジウムの形が定着していくだろうな。。と感じました。
今回は以上となります
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